160912奥只見北ノ又川本流 |
日程:2016.09.13~16 メンバー:王鞍、大山、山田(記) 奥只見北ノ又川本流に行ってきました。 自分の中では今年の沢のレベルアップ山行です。 大山君は2回目の沢、王鞍は初の長めの沢でしたが、 もがきにもがいて全行程を完遂することができました。 2人は本当に成長しました。 よく考えたらガッツリ秋雨の季節だし日程をミスりました。 しかし、大雨にはならないようなので少々の雨を覚悟で沢へ。 結果、最終日を除いてほぼ常にしとしと雨が降っている状況でした。 山行の内容は雪渓の出てくるだろう上流部まで詰めたと シッカイ倉沢の分岐上の微妙な(地図上では)屈曲部の草付を上がり小兎岳 装備は誰かの失態ゆえ40m1本とハーケンが7本。ハンマー2つ。 遡行初日は泳ぎと高巻き、2日目は藪漕ぎ8時間とハードな内容と 下級生の2人には非常に良い経験になったと思いま 13日 終電で小出へ。 王鞍が学割忘れて出鼻をくじかれる。 計画書は何を思ったか浦佐泊になっている。 雨の降る中駅の待合室にお世話になる。 14日 朝市のタクシーで白沢林道の終点まで。 林道をさらに詰め白沢出合付近から入渓。 水量も多く沢というより川である。 滝ハナ沢手前の箱淵はおとなしくまくことに。 箱淵入口左方の沢を10mほどあげ、懸垂なしで沢床へ。 上流にかけてもそうだが、基本的に踏み跡はなく高巻の技術が試される。 芝沢からの巻道は探しもせず本流に突入。 ガンガン泳ぐ 泳ぎを終えた王鞍 「あったかいっすねぇ」 どうやら上に雪渓はかけらもなさそう。 通常踏み跡を行く理由がよくわかる。 8m2条は右岸のバンドをあがり、2つの滝の間の削り残しをあがる。 残置ハーケンが一つある。最初の一本と最後の一本は自分で打つが回収。 8m2条をこえるとシッカイ沢手前にそこまで高くないが申し訳程度のテン場が。 3人とも数えきれない泳ぎで割と水没気味。 ギリギリ生き残った数少ない新聞紙により着火。 全力で火をつける。 夜は小雨の中ソーセージとチキンナゲットで語り明かしたいところだったが、 雨が弱くなるどころか本降りになりそうなので早めに就寝。 15日 相変わらず雨は止まない。 一瞬シッカイ沢へのエスケープを考えたが、王鞍と大山くんの体力ならまだいけるという判断をくだす。 どうやらシッカイ沢~大ヒカバ沢が核心のようだ。 大谷の中でいくつかルートを探るが巻は嫌なので、空荷で登って荷揚げしながら本流沿いを進む。 シッカイ倉沢より奥は早い時期だと雪渓に乗れるようだが、全くない。 雪渓がないとこんな地形なのか!感動。 感動もつかの間アサズキ倉沢手前の屈曲部のゴルジュが越えられない。 高巻はロープを垂らしながら傾斜のある正面の小沢の凹角をあがり、非常にきわどい草付を登る。 当たり前だが侵蝕速度の速いなめられた壁に支点は残ってないし、打てない。 ノーロープ、死ぬ気で35mを登り大山くんをあげる。 王鞍は違うルートをノーロープで上がる。 いや王鞍、強くなった。 林の中から本流の先を見ると雪渓は影も形もない。 その代り地図には反映されていない強烈なゴルジュが待ち受けているのがわかる。 これ以上の本流の遡行は無理と判断。今後のルートを話し合う。 選択肢は2つ。 ・今来たルートを懸垂し、雪渓なくても登れるという報告のあるシッカイ倉沢および兎沢へ突っ込む。 ・そのまま子兎岳の尾根につっこむ。 結局懸垂も嫌だし、情報が少ない沢に突っ込むのはやばいと判断し、 尾根をあげることに。 ココから藪漕ぎのデスマーチが始まる。 一番傾斜がきつい支尾根は岩と滑る笹に悩まされる。 しかしここさえ登り切って尾根にさえ出れれば死ぬことはないと自身に言い聞かせながら登る。 草付上がりからの判断であったこともあり水が一人500しかない。節水。 やっと尾根へ出たのはデスマーチを始めてから4時間後。 しかし藪漕ぎの恐ろしさはここからだった。 ここから多雪地方特有の高さ3m、直径3㎝の笹林を泳ぐ。 この辛さは言葉に言い表せない、、、 藪漕ぎ中のほぼすべてでトップをしてくれた王鞍に激烈な感謝。 下の藪も合わせて激烈な藪と合計8時間格闘。標高差600m。 上に出た時の感動と言ったらもう、TT 登山道に出たのが17:00。体力が残り少ないので、非常に申し訳ないが稜線でビバーク。 全てがびしょびしょの私たちはわりに厳しいよるとなった。 16日 寒い夜だったがなんとか朝を迎える。 秘密兵器を使った大山君は非常によく眠れていたようだ。 水もないので中ノ岳もいかずに下山。 中ノ岳と下山路の分岐にて初めて人に会う。 休憩時一口ずつしか水が飲めない我々を憐れんでくれたのであろうか、水を分けていただく。 水がないなんてチーフとして完全に失格だが、背に腹は変えられない。 最高級の感謝を伝え下山を急ぐ。 あとは汗をかかないように降りていく。 最後一口の水を残してようやく十字峡へ。 下で水を下部飲みしながらの言葉。 おそらく全員が同じ気持ちであったであろう。 「圧倒的達成感」 下山後すぐにタクシーを呼んで帰路につく。 帰りに大山がある黄色い看板のお店に行きたいと口にする。 そう、おそらく全員が同じ気持であったであろう。 これからのモデルケースとなるだろう。 この山行を経験した王鞍と大山くんはこの4日間で激烈な進化を遂げたはずだ。 以後2人の活躍に期待である。
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by tmualpine
| 2016-09-22 13:16
| 沢
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